★華麗なる変貌

 午前、遠い方の職場。

 午後は近い方の職場なのだが、息子にお昼を食べさせなければならない。どうするのだと聞くと食べに行きたいと言っていたので、いったん帰宅する。

 久しぶりにア・ラ・メゾンに行きたいという。ときどき家族で夕食を食べる、ふだん使いのイタリアン系洋食屋だ。

 こないだ昼に行ったときはなぜか閉まっていたので、念のために電話。名前も聞かれず、こころよくOKをもらう。

 ところが、店の前まで行ってみると、「2号店をオープンしました」と黒板に書いてあり、中を覗くと物置状態である。

 2号店というか、要するに移転しているのだ。こないだ閉まってたのも、そのせいなのかもしれない。

 仕方なく、書かれた住所を頼りに車を走らせる。幸い、数分の距離だ。

 途中、息子が「5階って書いてあったで」という。

 「こんな田舎に5階なんかないやろ。まさか、平和堂の中とちゃうやろな。そやけど、平和堂にも5階なんかなかったぞ。もしかしたら、手前のあのビルかな?」などと、埒もない話をしながら向かう。

 そういえば、駐車場があるのかすら聞いていない。車駐められるんだろうな・・・

 行ってみると、やっぱり「あのビル」だった。平和堂の手前(南側)の、本屋やレンタルビデオ屋やクリニックが入っているビルだ。

 ここなら駐車場には不自由しない。

 看板には、「北摂山手倶楽部 A' la Maison」とある。

 これはやばいかも。

 高いランチしかなかったらどうしよう・・・と思いながらエレベータで5階へ。

 そこには、かつてのアラメゾンを知る者には信じられない空間が広がっていた。

 その雰囲気を見ると、不安は明らかに的中したようなので、おそるおそるメニューを開いてみる。ランチは基本的に2種類で、1680円と3150円。

 前者が存在したことにホッとする。それでも、何でもない日に息子と食べに来るような値段では到底ない。

 ゆったりと間隔を空けてまばらに置かれた立派なテーブルと椅子。南ヨーロッパを思わせる、明るいオレンジ系の床。広々としたテラスには植物。こんな季節でなければ、テラスで食事、なども楽しそうだ。

 グランドピアノにワインセラー、入り口と奥の壁面には壁掛けテレビ(もちろんスイッチは入っていない)。

 豪華絢爛な花と、よくわからないジャポニスム的な和服美人の額。その横には襖。

 どれもこれも、かつてのアラメゾンとは似ても似つかない。

 馴染みのシェフの顔を見るまでは、ぜんぜん別の店のような気がして落ち着かなかった。

 前菜は豪華でおいしい。ミネストローネは定番の味。

 スパゲティボロネーゼのソースに、かつての店とのくっきりとした連続性を感じさせられた。シェフが変わってないのだから、当たり前なのだが・・・

 息子の食べたのはこれまでとは違う、さらにオシャレな感じの一皿で、味もよかった。

 パンにコーヒー。

 この値段でドルチェがないのはちょっと?である。お愛想程度でいいから何かあるほうがよいと思う。

 あと、砂糖とクリームが前の店のままのようだ。ここはやはり、きちんとした陶器に入れて提供すべきだろう。

 夜は3680円と5860円。もはや、普段使いにはとてもできない。何せ、キャッチフレーズが

   「特別な時間を彩る華やかな晩餐」

なのだ。

 シェフは同じだが、前の店とはまったく違うコンセプトだと考えた方がよさそうである。

 行きつけと言えるほどの店は何軒もないし、その中で発展的に移転した店はまだ2つ目である。1つ目はまあ、店は綺麗で広くなったとはいえ旧来の路線を踏襲しているが、ここはまったく変わった。

 聞けば、もう半年以上前からここでやっているという。そんなに長い間、来ていなかったっけ?

 失礼ながら、前の店は千客万来という感じではなかった。それでも、これほどの華麗なる変貌ができるほどの下地ができていたのだろうか。旧店のスペースを残したままだし、お金も余分にかかるはずなのだが・・・

 まあ、心配してもどうなるものでもないし、私はこれまでのようには通えない。

 どうか皆様、ちょっと贅沢なランチや、特別な日のディナーにアラメゾンをご利用いただき、応援をよろしくお願い致します ^^;

店 名:Rest house 北摂山手倶楽部 ダイニングキッチン A' la Maison(アラメゾン)

所在地:大阪府茨木市上郡2丁目13-14 ゴウダC&Eビル 5階

   (名神茨木インター近く。平和堂アルプラザ南すぐ。駐車場豊富)

電 話:072-621-7380(予約をお勧め)