■苦労を勝手にご破算にしてしまう Windows 7

 年末年始、ぼつぼつと怠け者の節句働きをしている。大した仕事ではないとはいえ、いくつか並行しているのでけっこう気は重い。

 そのひとつに、テキストデータベースを扱うものがある。ほとんどの作業は Mac でやるのだが、テキストデータベースを扱うときだけは仕方なく Windows を使う。管理工学研究所「桐」という素晴らしいソフトがあり、作業効率がぜんぜん違うからだ。もう四半世紀前のソフトになるが、最新の Windows にもしっかり対応している(おお、バージョンが2012になっているではないか)。

 一括処理とか自動化とかできそうなことはだいたい年末までに終わらせていたので、データをひとつずつ触る辛気くさい仕事が中心に残っている。億劫なので他の仕事を先にやっていた。

 でもいつまでも放置しておくわけにもいかない。ひとつひとつデータを確認し、別のカラムにフラグを立てていく・・・ そんなことを地道に続けていて疲れ、休憩がてら横にあった新聞なんかに目を通していると、画面の様子が変わったのに気がついた。

 モニタに視線を戻すと、変更したデータを保存せずに桐を終了するときの警告画面になっている。「保存して終了」「破棄して終了」「キャンセル」みたいなあれだ。

 おかしいなあ、さっきから触ってないのに・・・と思うやいなや、ものの2秒ぐらいでその画面も消え、あっという間にウィンドウズ自体が終了していく。その後、どうやら、Windows update をやっているようだ。

 みるみるうちに終了して再起動、何ごともなかったように立ち上がる。

 うわ、まさか、入力したデータが・・・とは思ったものの、勝手にデータを破棄して終了するなんてありえないだろうと、この時点ではまだ少し楽観していた。

 ところが、努力の痕跡はどこにも残っておらず、さっきのファイルを開くと、みごと、作業前の状態が再現された。強制的に破棄して終了したのだ。

 最初は何かの不具合かと思った。ところがさにあらず。ネットで調べてみるとすぐわかるが、Windows 7 のデフォルトの動作らしいのである。

 あらかじめ自分で設定を変更しておかないと、Windows update が働いて自動で勝手に再起動まで行うようになっており、私が経験したようなことが起こるらしい。

 ありえない・・・としか言いようがない。

 どんなに再起動しようと思っても、未保存のデータがある限り、人間が破棄を選択しないとシステム終了も再起動もされないのが当然だ。

 作業中のデータを強制的に破棄して勝手に再起動する「仕様」のシステム・・・

 そんなものが世の中にあるなんて、経験した今になっても信じられない。

 幸い、無駄にしたのは小1時間ぐらいの作業だった。創作的な仕事ではないので、もう2度と再現できないということもない。

 それでも、こんなシステムが世界で一番使われているなんて、いったいどうなっているんだろう。

 Windows 7(ほかの Windows もなのだろうか(後記:XP や Vista から続く悪しき伝統のようです))をお使いの皆さま、今すぐ、Windows update を自動で行う設定を解除してください。「更新だけ知らせる」か「ダウンロードだけする」にしておかないと、私の二の舞になってしまい、下手をすればもっともっと貴重なデータを失いかねません。

 それにしても、ほんとにありえない。