◆飛べない週末

 土曜も日曜も、天候のために飛ぶのをやめた。飛べないわけではないのだが、雨が降っていると、準備するのが嫌になる。降りてきてからも、機を地面に縛り付けるなど、いろいろやることがあって憂鬱になる。

 飛べない時もある。視程5キロ以下(5キロ以上先が見通せないとき)は、VFR(有視界飛行)で飛ぶことが許されていない。以前、天候が回復するのを待って上がったときは、上がった瞬間に軽く後悔するほど周りが見えにくかった。以降、視程が10キロ以上ないときは飛ばないようにしている。

 今日日曜日は、視程は十分あるのだが、大阪南部には低い雲が垂れ込めているらしい。

 飛ぶための気象状況を知るには、天気予報では不十分で、「定時航空実況気象通報式(METAR)」や「飛行場予報(TAF)」を参照することになる。それでも不十分なので、実際には、空港でさまざまな種類の天気図や、レーダー画面をにらみながら、飛ぶかどうか決定する(私には荷が重いので気象予報官に直接聞く)

 訓練中、どんなに天気がよくても、教官がこれを欠かさないのに驚いていた。「いくら何でも、今日みたいな日に、そんなに真剣に天気なんか調べますか?」というような天気でも決して欠かさない。その慎重さが、「尊敬するベテランパイロット」たりうる所以の一つなのだろうと思ったものだ。

 話が長くなった。今日、これを書いたのは、実際のMETARで見たこともないようなのを見つけたからだ。南紀白浜空港のそれである。

Raw surface observations for station RJBD

RJBD 262200Z 16004KT 0200 FG FEW000 BKN001 24/24 Q1008 =

 6月27日朝7時(日本時間)の時点で、霧で視程が200メートル。100フィート(30.5メートル)に、雲べったり(切れ間はある)。湿度100%。

 大阪北部は、曇ってはいるものの飛行日和といってもいいぐらいなのに。これでは、旅客機だって降りられるかどうかというレベルである。雲の中を飛んでいい旅客機も、最後は滑走路を視認しないと降りてはいけないことになっているからだ。

 幸い、この時間に南紀白浜に飛んでくる旅客機はない(どの時間でも、ほとんどない(笑))

 航空機事故の多くに、気象が絡んでいる。小型機の事故に限れば、ほとんどかもしれない。自戒せねば。