◆田舎のイタリア料理
田舎に行くとろくな食事処がない。これもヨーロッパを持ち出したくなる問題だ(ふー)。彼の地には、どこへ行ってもおいしいレストランがある。(外)食文化の蓄積度のようなものを感じずにはいられない。
いや、もちろん、日本の田舎にだって、おいしい店はあるのだろう。だが、密度は明らかに低いと思う。ファミリーレストランとコンビニのある「郊外」を過ぎて、それらがなくなる「田舎」に入ると、とたんに何も食べるものがなくなり、おにぎりすら買えなくなる。ファミレスがおいしいとはまさか思わないが、とりあえず食事はできる。それすら綺麗さっぱりなくなると「田舎」に入ったことになる。
見つかるのは、「うどん・丼物」とか「ラーメン」とか「大衆食堂」とか書かれた店ばかりだ。でなければ、「喫茶・軽食」。ケチャップ味のスパゲティとか毒々しい色のハムを挟んだサンドイッチを出す店だ。
こういった店の中にも、たまにはおいしいところもあるのかもしれないが、その看板や店のたたずまいを見ただけで、期待できないことは明らかなように思える。これらとは別に、ごく稀に土地のおいしい料理を供する店もあるようだが、えらく豪勢で高価なものになるのが通例である。唯一?の例外は蕎麦で、たまにおいしい蕎麦を出す店に巡り会える。だが、残念なことに、家族の中で蕎麦が好きなのは私だけだ。
そんな中、「田舎」にイタリア国旗が翻っているのを見つけた。「郊外」ではなく「田舎」でこんな店に出会ったのは、私の狭い経験に限れば初めてだと思う。安普請のログハウスだが、それなりにおしゃれだ。「冒険かも」と思いながら入ったら、街中のおいしいイタリアンのレベルで、驚いた。値段も安めである。近くにあれば、昼のいきつけにするレベルだ。
さらに驚いたのは、店内にあった免許や許可書のたぐいを見たときだ。オーナーとおぼしき人物の生年月日が「昭和58年」になっている。ショウワ58年ってなんだ? 誕生日が来ていなければハタチじゃないか。
やはりそうだった。今は21歳だという。去年店ができたというから、店を作ったときには実際にハタチのオーナーシェフだったわけだ。ウェイトレスは奥さんだろうか。
滅多に通るようなところではないが、もし通るようなことがあったらお勧めである。店名は「鷲の家」。地名にちなんでいるが、大阪出身だそうだ。
店 名:Casa Aquila(カサ・アクイラ)
電 話:07464-2-0665
定休日:毎週木曜日と第3金曜日