■「金で買えないものはない」?

 昨夜からホリエモン堀江貴文ライブドア社長)逮捕報道でもちきり。毎日放送は9時から報道特別番組まで組んで、予定の放送を飛ばしてしまった。それほどの大事件なんだろうか。まあ、証券市場などに与えたインパクトは大きかったみたいだけど。

 それはそれとして、前から気になっていることがある。ホリエモンが「金で買えないものはない」と本当に言っているのか、ということである。

 今日、1月24日の朝日新聞夕刊(大阪本社版)にも、「「金で買えないものはない」と悪びれることなく公言する」とはっきり書いてある。本当にそんなことを言ったのかな?

 氏は著書で「人間の心は金で買える」とは述べている。だが、巷間言われるような「金で買えないものはない」とか「何でも金で買える」とか言うのは、少なくとも私は聞いたことがない。単に私の耳に入らないだけなのか。

 こんなことを言うのは、金で買えないものがあるのは明らかな事実で、そんなことはいくらホリエモンでも十分承知していると思うからだ。現に今回の件を例に取るならば、不逮捕特権は金では買えないし、無罪も買えない。保釈が認められなければ、いくら金を積んでも拘置所から出ることすらできない。

 「まごころ」とか「真実の愛」とかこっぱずかしいものを持ち出さなくても、金で買えないものがいくらでもあるのは、誰だって知っていることである。

 まあ、ある種のタトエとして極端なことを氏が言った可能性はある。だとすれば、凍てつく寒さの中、暖房のない3畳の部屋で4時半に夕食を食べさせられて、便器を眺めながら9時には寝なければならない(以上各紙報道から)彼は、金で買えないものがあることを噛みしめていることだろう。

 だがむしろ、一連の騒動で気になるのは、彼を取り巻く政治家や経済人やマスコミの対応・反応だ。特にマスコミを通してコメントを述べる「評論家」的な人たちに悲惨な人が多い。

 ライブドア本体がやっていた主たる業務はアメリカ型資本主義社会の典型的手法に則っていると思うのだが、それを「虚業」だというのならその通りなのかもしれない。しかし、その「虚業」によって買収された、あまたの「ライブドア」と名の付く会社は、立派な「実業」で社会に貢献しているところがほとんどである。

 今回の件でそれらの会社までがいわれのない誹謗中傷に曝されることを思うと、また嫌なものを見てしまった気になる。