●半鐘泥棒
その昔、「半鐘泥棒」という言葉があった。
いや、今もあるというべきなのかもしれないが、私の世代でもほとんどの人が知らないのではないだろうか。私自身、筒井康隆の小説で1度だけ目にした以外に記憶がない。
この言葉は、文字通り「半鐘を盗む人」というよりは、「ひどく背の高い者をあざけっていう語」(『大辞林』)である。辞書も、実際の泥棒を予定していない。
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金属相場が高騰しているからというが、文字通りの「半鐘泥棒」が日本に跋扈しているのには驚いた。第一、半鐘なんかがまだ日本に多数あるのにも驚いた。私個人は、歴史博物館とかは別にして、実際に半鐘なんか目にしたことは、もしかするとないかもしれない。
そんな珍しいものがまだ多数あり、かつ、それを盗む奴も多数?いるというのだから日本もやはり広い。
半鐘だけでなく、滑り台や溝の蓋に車止め、果ては電線などいろいろな金属が盗まれているのはご承知の通り。海外の話としてはときどき聞いたが、国内では少なくともこれまであまり報道されてこなかったと思う。
各地の銅像までが盗まれ始めたというのは嘆かわしいというべきか。まあ、ほとんどの銅像には共感できないので、個人的にはアレだけど・・・
それよりも、これまで盗まれずにすんでいた各種野外金属が次々と盗まれるようになったのはなぜだろう?
金属相場が高騰しているというのはその通りかもしれないが、むしろそれより、こういう窃盗行為が引き合うものになるぐらい、貧しい人が増えたのではないかという気がする。心の貧しさも含めて。