●航空運賃の怪

 今月下旬、沖縄に出張することになった。

 ところが、予算が足りないので不可能だと言われる。

 少なくとも往復の航空運賃を、そのための旅費として確保した予算でまかなえないと、出張できないというのだ。自腹を切ってもダメなのだそうである。

 担当者は「ぜんぜん足りませんね」とおっしゃるのだが、その時点ではまだなめていて、「なに、安いチケットを買えば何とでもなるさ」と思っていた。予算は4万円である。

 ところが、航空会社のウェブで料金を見てのけぞった。今から私が買える切符は、普通運賃しかなく、それはなんと、片道!3万6400円もするのだ。往復だと7万2800円。

 とてもじゃないが、4万円では足りない。

 大阪−沖縄って、こんなに高かったっけ?

 そう思って調べると、4月終わりごろなら、なんと1万7千円で正規チケットが買えるのだ。日本航空の「先得割引」である。

 ついでに全日空も調べてみると、うわお!1万3000円ではないか(旅割)。往復しても、4万円で1万4千円も余るのである。

 何なのだ、この無茶苦茶な割引率は・・・ 後者なら65%引きである。

 もちろん、28日以上前に予約した安いチケットにはさまざまな制約があることは承知している。それにしても、いくらなんでも、こんなに人を馬鹿にした話があるだろうか。

 「もっと早く計画していれば良かった。何でもギリギリにならないと取りかかれないダメな男なんだよなあ・・・」などと落ち込みながら、「いや、とてもそんなことを考える余裕はなかったのだ」と言い訳してみる。

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 ところが、諦める前にとネットで検索するうち、今からでも1万2000円で買えるチケットを発見した。旅割よりさらに安い。これなら余裕である。

 ネットだし、チケットは空港で渡すと書いてあるし、聞いたこともない旅行会社だったので、怪しさ全開かもと思ったのだが、いろいろ検索しても悪い評判は見あたらない。

 「まさか、詐欺のために短期間だけ立ち上げたサイトとかではないだろうな」という一抹の不安と闘いながらメールを送り、「銀行振込で先払いして万一詐欺に遭っても、被害は2万5000円(往復+手数料が2枚で1000円)だけだ、可能性は低いし・・・」などと考えつつ、結局は電話をかけてクレジットカードで支払った。

 空港に行くまでチケットは受け取れないので、まだどうなるかはわからないのだが、感触的にはまず大丈夫だと思っている。

 この値段で、伊丹発着の昼間便だ。まあ、大阪朝発とか沖縄夕方発とかだともう少し高いようだけれど、関空や神戸ではない。

 このチケットとは別に、違う旅行会社から出張パックみたいなのも販売されていて、ホテル3泊付きで4万円を切っていたりするのだが、伊丹だと片道数千円以上の追加料金が必要だというのである。

 しかしまあ、こんなでたらめな料金がまかり通っている航空運賃って何なのだろう? JRとかで、正規運賃の1/3以下のチケットが手に入るなんてあり得るだろうか?

 「出張パック」もすごかった。「2泊より3泊の方が安かったりするんですよね・・・」という担当者のつぶやきは、自分で売っていても納得できない風情であった。

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 人一倍?倹約家ではあるのだが、こういうことで消耗するのは大嫌いだ。

 何であっても、一切値引きとか割引とかなしで、どこでいつ買っても一物一価という住みやすい社会を夢見てしまう。

 結局のところ平均となる価格で全て売って、何か不都合でもあるのだろうか?(いえ、これは八つ当たりです。市場経済のわからない奴だと見下さないでください ^^;)

 割引券とか「おトクなクーポン」とかポイントカードとかを見るたびに、こんなくだらないことで人生を浪費する無駄に腹立たしくなってくる。

 そんなめんどくさいことをする暇があったら、初めから適正価格で売れよ、と思う。

 駆け引きの消耗戦に否応なく巻き込まれてしまう自分にも腹を立てながら。