◆ホームセンターで双眼鏡を買ってはいけない
強烈な湿気に襲われる季節。
ふと気がつくと、光学機器を入れている簞笥の引き出しの除湿剤がなくなり、全部水になっていた。カビにでも生えられたら大ごとである。
久しぶりにグリルナナ(気のいいマスターがやっている大阪府池田市の洋食屋さん)に行った帰り、ホームセンターに寄って除湿剤を買った。
レジを済ませ、店を出ようとしていると、息子が「おもしろいものがあるから来て」という。
そこには確かに、目を疑うほどの「おもしろいもの」があった。
30倍の「双眼鏡」がバードウォッチングに「最適」で、50倍や70倍が「適」・・・
気の弱い私でも絶対の確信を持って断言できるが、どの倍率も完璧に「不適」である。
質・量ともに日本で一番の双眼鏡メーカーはおそらくニコンだと思うが、そのニコンが作っている双眼鏡の最大倍率が24倍。22倍のものもひとつあるが、これらはいずれも安物のズーム双眼鏡で、おそらく高倍率側は使いものにならない。
次に高い倍率は18倍。これは「スターウォッチングや航海で威力を発揮」するプロフェッショナル用と位置づけられている。
それ以外のほとんどの双眼鏡は、どれも7倍〜10倍程度である。
例外として、博物館や美術館なんかで便利な小型の4倍〜6倍のもの、大口径の12倍のもの、防振の14倍・16倍のものがある程度だ。
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なにもバードウォッチングに限らない。
「スポーツ観戦」であれ「各種レジャー」であれ「コンサート・観劇」であれ、それが「双眼鏡」である限り、25倍以上のものなどすべて「不適」で、そもそも一流メーカでは作りも売りもしていない(24倍のものは作られて売られているけどたぶん「不適」です)。
そういうことを知らない方が、この説明看板を見て双眼鏡を買ったりする可能性を思うと、悲しい気持ちになる。
この説明を作った人に悪気はないのだろうか。だとすると、結果として消費者を欺いてしまう「無知の罪」を感じざるをえない。
自分が知らないことを人に説いてはいけないのだ。自戒を込めて・・・
置いてあるズーム双眼鏡をいくつか覗いたが、低倍率側(20倍!)では何とか像を結んで大きくは見えるものの使いものにはならないし、高倍率側(80倍とか100倍とか)ではピントすら合わず、ほとんど何も見えなかった。何を見ようとしても、ぼんやりした色つきの暗い影のようなものがちらちらするばかりである。
にもかかわらず、「〜倍ではこのように見えます」という偽りの説明写真も展示してある。
こんな粗悪な物体(「双眼鏡」とはとても呼べない)を虚偽の情報で買わせようとしている?ホームセンターなんかでは、絶対に買ってはいけない。
お勧めの双眼鏡はこちら。
追記:
このエントリを書くにあたってニコンのウェブサイトを見てみると、知らない間にフラッグシップ機が発売されていた。ほんとに双眼鏡って宣伝されませんね・・・
ちょっと欲しいのは、EDG 10x42(23万9400円也)。もちろん買い(え)ません。
さらに追記:「●買って後悔しない双眼鏡」(2013年3月31日)というエントリを作りました。あわせてお読みくだされば幸いです。