★いいことは自然には起こらない
アシがなくなって、仕方なくバスやらモノレールやらを乗り継いで職場に向かう途中、さまざまな想念が去来し、北大阪の街を鳥の視線で見ながら、深遠な真理にたどりついた(笑)
それは、「悪いことはいくらでも自然に起こるが、いいことは自然には起こらない」ということ。
放っておいても車は故障し、体は心筋梗塞を起こし、あるいは死ぬ。
故障や病気から逃れられる僥倖に恵まれても、モノも体も確実に劣化・老化する。
事故や事件に巻き込まれる可能性も常にあり、そのたびに生命・財産が脅かされる。
災害なんかもまさに、「自然に」起こる。
それに対して、いいことというのは自然には起こらない。
車や体が若返ることはないし、性能や知力や体力が向上することもない。今より健康になることもない。
自然の現象や変化は常に悪い方へ悪い方へである。
これって、要するに「エントロピー増大の法則」みたいなものなんだろうかと考えたりした。
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ディーラーを出てバス停へ向かってとぼとぼと歩く途中、左手の大きなガラスの向こうに、トレッドミルで汗を流す人たちの姿が見えた。
遊んでいる器具がないほどの盛況である。
悪い方へとしか変化しない自然の摂理に少しでも逆らおうと努力している姿はしかし、むしろ虚しさや侘びしさしか感じさせなかった。
もっとも、ある光景がどう見えるかは、多く自身の内面の反映である。
それに、あの人たちほど勤勉には何もできないものの、私だって少しはダイエットしたり運動したりのささやかな抵抗を試みている。
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それにしても・・・
何か「自然に起こる(可能性のある)いいこと」というのはないものかと、つらつら考えてみた。
とんでもない大金を拾うことと、素敵な人が自分を好きになってくれること。
何か他にあるだろうか?
どちらも、起こる確率は限りなく低いし、起こったら起こったで、「自然に」いろんな悪いことにつながってしまいそうな気がする。
(これを書いている最中にも、家人が皿を割った。いいことはもちろん起こっていない。)