★見当外れの懐古趣味

 「防衛省の相次ぐ不祥事をきっかけに組織の改革案を議論してきた自民党の小委員会」が、「24日の会合で提言をまとめ」たという(nhk.or.jp)。

 イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故の際、情報伝達が不適切だったとかの教訓から、いわゆる危機管理能力を向上させようというねらいも当然あるらしい。

 その提言の中に、

自衛官の階級の呼称についてよりわかりやすくしたいとして、今の「1佐・2佐・3佐」を「大佐・中佐・少佐」などと変更することを盛り込んでい」る(同上)

というのにあきれた。

 大佐・中佐・少佐がわかるような人は、1佐・2佐・3佐と言ったって十分にわかる。

 逆に、家人のように、佐官と尉官のどちらが偉いかすらわからないような人(←何度教えても覚えられない)は、大佐・中佐と言い換えたって、わからないことに変わりはない。

 第一、自衛隊の中に、1佐・2佐・3佐だと階級がわかりにくいなんていう人はいない。そして、一般人にとっては、自衛隊の階級がわかりにくくても何の問題もないのである。

 要するに、旧軍に郷愁を持っているような懐古趣味で時代後れのオジサマたちの言葉遊びに過ぎないような気がするのだ。

 「わかりにくい」などというのは、こじつけだとしてもレベルが低い。

 将校や士官という言葉を(なるべく)使わずに「幹部」と称してきたことや、たとえば空将や空将補や1佐・2佐・3佐として歴史を積み上げてきた自衛隊には、旧軍とは違う、その呼称の下で培われた伝統と誇りがあるはずである。

 「相次ぐ不祥事」や不名誉な事故を奇貨として、旧軍時代の呼称を復活させたいとは、どこまで恥知らずなのか(念のため、自衛隊がではなくて、「自民党の小委員会が」です)と思うのだが・・・

 この調子だと、不祥事や事故が多いからという理由で

防衛庁防衛省(ここまで実現)→国防省

自衛隊自衛軍        →日本軍

と呼称や組織が変更されていきそうな気がする。