◆コンピュータ制御のブレーキ
やっとというか、トヨタの社長が出てきて、プリウスのブレーキ問題に対する前向きな対応を確約した。
(後注:2月6日の朝日新聞朝刊によると「豊田社長」は「対応を明言しなかった」ということである。これは、「リコール」「改善対策」「自主改修」のどれにするのか決めていないということらしい。それがまた批判の対象となっている。)
せっかくの会見も、今日となっては、世間のあまりの反応にうろたえてあわてて対応を変えたようにしか見えない。
どうせこうなることはわかっていたのに、どうしてたった1〜2日前に、同じ決断ができなかったのだろう? 客観的な状況は何も変わっていないのだ。世間の反応を除いては。
多くの人の心に残ったのは、「顧客をなめている」「安全を軽視している」という思いだろう。
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さて、今回の騒動で、プリウスのブレーキシステムについて一つだけ驚いたことがある。それは、
「ブレーキを踏んでいても、通常のディスクブレーキがまったく作動していないのは普通だ」
という点である。これはABSとも今回の問題とも何ら関係なく、「本来、そういうもの」なのだそうだ。
プリウスが「回生ブレーキ」というシステムで制動時のエネルギーを電力に変えているというのは知っていた。
だが、それは、アクセルペダルを戻した時の、いわゆるエンジンブレーキ状態の時の話で、ブレーキペダルを足で踏めば、ディスクブレーキが作動するものだと私は勝手に思い込んでいたのだ。
実際は、ブレーキペダルを踏んだ状態でも、通常のディスクブレーキはまったく作動せず、回生ブレーキだけが作動している状況にあることは、ごく当たり前で正常の動作だというのである。
ディスクブレーキは必要に応じて作動し、回生ブレーキと協調して車を減速させる。その制御をコンピュータが行っているのだ。
今回の「欠陥」は、低速でABSが作動した際、回生ブレーキがキャンセルされてからディスクブレーキによる制動が始まるまでに若干のタイムラグがあることだというのは、ほぼ間違いないらしい。
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今の車がコンピュータの塊だというのは承知しているつもりだ。エンジン制御だってそうである。
車のメンテナンスは、コンピュータに残ったログを解析することから始まる。そこには、エンジンの動作履歴やABSがいつどのように作動したかなどが詳細に記録されている。
しかしながら、「ブレーキペダルを踏んでいてもディスクブレーキが作動していないのは普通」なんていうのは、ちょっと「やりすぎ」なんじゃないかと思う。そんなことまでソフトウェア制御に任せていいのだろうか。
私はアナログでアナクロな人間ではない。むしろ、同世代の中ではその逆の方ではないかと思う。
でもやっぱり、ブレーキを踏んだ時には必ず、パッドがディスクを物理的に挟んでほしい。
ブレーキを踏んでもパッドが動いていないのを想像すると、たとえ回生ブレーキがきちんと仕事をしているとしても、不安になってしまう。
次に買う車としてプリウスやサイは有力候補だったのだが、このブレーキシステムを知って買う気が失せてしまった(今回の騒動は別にしても)。
やっぱり私は、アナログでアナクロな人間なのだろうか・・・