● U

 大学時代の友人、Uの奥さんから突然メールが来た。

 Uの結婚式で新郎の友人として一度会ったきりだ。少なくとも20年以上にはなると思う。

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 引っ込み思案で奥ゆかしく、真面目なUは、アクの強い連中が多かった学生時代の友人の中にあって、不器用ではあるがきわめて真っ当な男だった。

 思慮深すぎるのがわざわいしたのか、卒業は少し遅れたが、結婚して子どももでき、葉書に「子育て」とか「家族サービス」なんて言葉が登場するようになって、「あの奥手だったUがよくぞここまで」と、ちょっとした感慨を覚えたものだ。

 卒業してからは会う機会も数えるほどしかなかったが、今住んでいる家に招いたことのある、たった2人の友人のうちのひとりがUであることは、もちろん偶然ではない。

 年賀状どころか、律儀に暑中見舞いなんかまで送ってきていたそのUからの音信が途絶えて、もう数年が経つ。

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 なあ、U・・・

 お前は知らないだろうし、俺も初めて知ったんだが、お前の息子のKは、俺たちの母校に入学していて、もうすぐ2年生になる。

 お前に似て、おとなしくて真面目で口下手で、取り越し苦労をして悩むところなんかもあるけれど、なんとか元気にやっているみたいだ。

 読んでるはずはないと思うけれど、こんなものでも世界中から見られるんだから、もしかしたら、あるいは・・・