映画・テレビ

●「目黒 栞」は存在しない

つまらないことが気になる。 フジテレビで今秋やっているドラマ「黄昏流星群」で黒木 瞳が演じているヒロインの名前が「目黒 栞」なのだが、ドラマの設定だと、こういう名前の人物は存在しないはずなのだ。 「栞」の字が人名漢字に入ったのは1990年なので、…

◆行きすぎたPC?

標題のPCとは、Political Correctness のことで、日本語では「政治的正しさ」などと訳される。 そう訳してもぜんぜんわかりやすくならないのだが、要するに、「人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を含まない、中立的な表現や用語を用いること」(…

■「アキレスのかかと」

みなさまは、「アキレスのかかと」が何を意味するか、瞬時に理解できて違和感もないでしょうか。 ___ ___ キリがないし面倒くさいのでなるべく書かないといいながらのたぶん3回目。 まあ、十数年の歴史で3回ですからほとんど書いてませんよね。 アメ…

◆グッド・ライ 〜いちばん優しい嘘〜

思いがけず、いい映画を見た。 「兄弟」を失いながら1000km以上も裸足で歩き、ケニアの難民キャンプにたどり着いたスーダン難民。十数年もそこで過ごした後に、やっとアメリカに第三国定住が認められるも、もちろんいいことばかりではない。 ただ、重いばか…

◆ Hidden Figures

邦題は『ドリーム』。アメリカ航空宇宙局(NASA)の宇宙開発に貢献した黒人女性たちの物語。 原題の Hidden Figures は、直訳すれば「隠された姿」というような意味だが、「陰の人々」とでも訳せようか。なんか違う感じだけれど「縁の下の力持ち」と言っても…

★許せぬ誤訳

書き出すとキリがないし面倒くさいので書くまいと思いながらも、再び誤訳の話を・・・ まあ、前に初めて書いてから半年以上経ってるし、お許しくだされば(って誰に言ってるんだろう?)。 「NCIS ~ネイビー犯罪捜査班」というドラマを見ている。 NCISとい…

■ビッケとムーミンをめぐる騒動

先日行われた大学入試センター試験の地理Bで出題された、「小さなバイキング ビッケ」と「ムーミン」に関する話題がかまびすしい。 当初、個人的には「よく考えられたいい問題だなあ」という印象を持っていた。もちろん、正答を選ぶのにアニメの知識は必要…

■「結婚してもうすぐ・・・」

大島優子が 「結婚してもうすぐ一年。あえて話さなくても、わかることが多くなった・・・」 と語る「泡ミノン」(第一三共ヘルスケアの全身シャンプー)のCM。 これを見て、 「結婚してもうすぐウン十年。いくら話しても、わかりあえないことに慣れてきた…

■ハクソー・リッジ

沖縄戦の映画だというだけの予備知識で見た。 ハクソー・リッジとは沖縄県浦添市にある丘で、日本側は「前田高地」と呼んでいたそうだ。 実話だというのだが、細部の多くは創作・演出されたものだろう。 いずれにせよ、ものすごい傑作だと思う。たとえば『プ…

◆映像は想像を超えない ──『ダンケルク』

映画『ダンケルク』を見た。映画館で映画を見るのは10年ぶりである。 なぜ見ようと思ったかというと、ばんばひろふみ さんがその映像のすごさをラジオで絶讃していたからだ。ダンケルクを見たあとで他の映画をふつうのスクリーンで見ると、もうアホらしくて…

■目に余る誤訳

書き出すとキリがないし面倒くさいと思って今までほとんど書いたことがなかったのだが、直前のエントリに触発されて、つい先日「これはいくら何でも」が2つ続いたことを書く。 ___ 映画の吹き替えや字幕、特に字幕には制約が多く、元の台詞の1/3も訳せて…

■「NYPDよっ!」

アメリカのドラマの宣伝を見ていると、被疑者のところに突入する刑事が 「NYPDよっ!」 と叫ぶ場面が放映される。 "NYPD" は "New York city Police Department"(ニューヨーク市警察)の頭文字で、「エヌ・ワイ・ピー・ディー」と発音する。 吹き替えでなけ…

★世界侵略のススメ

マイケル・ムーア監督。 アメリカ「以外」の国々(といっても、ヨーロッパとチュニジア)がいかに素晴らしい面を持っているかを笑いと皮肉たっぷりに紹介するドキュメンタリー。 例の調子だが、やはり傑作である。日本ももちろん、教えられることが多い。 紹…

★ハドソン川の奇跡

トム・ハンクス主演、クリント・イーストウッド監督。 実に久しぶりにほとんど手放しで賞賛できる映画を見ました。 ぜひ皆さまも予備知識なしでご覧ください。 とは言っても、ご承知の通り、誰も死にませんし。 不時着水の時のCGを除けば、ほとんど文句の…

◆最高の花婿

引き続き、映画の紹介。 パリから南西に百数十キロ、お城で有名なロワール川流域に住む保守的なフランス人夫妻。自身も、ちょっとしたお城を思わせる邸宅に住んでいる。 4人の娘がいるのだが、パリに行かせたばかりに、上の3人が次々と、アラブ人・ユダヤ…

◆ヘイトフル・エイト

久しぶりに映画の紹介。 エンニオ・モリコーネが音楽を担当する、クエンティン・タランティーノらしい凄惨な映画。サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセルほか。 ミステリー仕立ての西部劇になっている。あ、西部劇仕立てのミステリーと言うべきか。 …

★「母になる」または 間違った敬語

なぜか勝手に録画されていたのでとりあえず再生してみたら、沢尻エリカの名前を見てちょっと見る気になった。 藤木直人も好きな俳優だし、話も悪くないと思う。 ただ、警察官が「ご確認してください」、産科医が「ご安心してください」と発言する台詞にはげ…

●配偶者の呼称(その3)

配偶者の呼称 配偶者の呼称(その2)の続き。 以前書いた内容を含むが、標題をつけて改めて。 2017年新春ドラマで、先日終了した「カルテット」(脚本:坂元裕二)では、年上の女性(松たか子)の配偶者のことを、年下の連中(満島ひかり・松田龍平・高橋一…

●レヴェナント:蘇えりし者

単純なストーリーではあるものの、その壮絶さ・凄絶さは見ている者を引き込むのに十分だ。 サイドストーリーとしてのネイティブ・アメリカンの描き方も、21世紀らしい視点から彩りと深みを添えている。 「残酷さ」に耐えられる人はぜひ。 ___ 以下、どう…

■ドローン・オブ・ウォー

まだ途中までしか見ていないのにこういうことを言うのもなんだが、現代に生きるだれもが見るべき映画である。 これが未来のことではなく、むしろ過去のことだというのがまた・・・ しかも、あのオバマ政権下ですら、こんな戦争が行われていたのだ。 (物語の…

■カルテット

今クールのドラマで、2回目(以降?)を見たいのが出てきた。 「カルテット」 (出演:松たか子・満島ひかり・松田龍平・高橋一生 脚本:坂元裕二)。 前クールは「逃げるは恥だが役に立つ」。2クール連続で見たいドラマがあるのは滅多にないことで、ちょ…

●顔のないヒトラーたち

アウシュビッツを訪れたときのことは、以前ここに書いた。 今や、知らぬ者のいないその場所も、フランクフルト・アウシュビッツ裁判(1963-65)がなければ、今とはまったく違った様相を呈していたかもしれない。 1950年代初頭には独仏英語に訳されていた『ア…

★The Walk

いやあ・・・ こんなすごい人(Philippe Petit(フィリップ・プティ))が存在した(といってもまだ存命中らしい)なんて、まったく知らなかった。 必見の映画。 見終わってから、ロバート・ゼメキスの作品だと知った。それもやっぱりすごい。 (The Walk, 2…

◆びっくりの「スナイパー」

たぶん、みなさんは「スナイパー」の意味をご存知でしょう。 そう、「狙撃手・狙撃兵」(わお、『広辞苑』の第四版には載っていない。第六版には載っていた)ですね。 最近では、『アメリカン・スナイパー』(2014 U.S.A.)という実話をもとにした名作映画も…

★才能(<a href="http://trinity.air-nifty.com/divine/2013/03/post-f0b8.html" target = "_blank" >ふたたび</a>)

新しいテレビがコンピュータそのものであることは以前書いた。 すぐに自宅の無線ネットワークに繋がり、昔で言うところのビデオ・オン・デマンド(今はなんて言うんだろう・・・ストリーミング配信?)で映画なんかが見られる。 Netflix, Hulu, U-NEXT, dTV …

★シークレットロード

これが遺作になってしまったこと自体はかえすがえすも残念だけれど、遺作たるにふさわしい、ロビン・ウィリアムズの傑作。 「名演技」というのはこういうのをいうのだろう。 原題は Boulevard(大通り)。 12歳の夏からずっと人生の boulevard を歩けなかっ…

●何か買うと未来(10年ひと昔 改題)

新しいテレビを買った。 今ブログで調べてみると、ちょうど10年で買い換えたことになるようだ。うちとしては例外的に短い寿命だった。 せっかくテレビが搬入されたというのに、朝から夜中まで缶詰の仕事でほとんど見られなかった。 今日あらためて見ると、10…

◆Boyhood(少年時代)

久しぶりに映画の話。 といっても、芸術は饒舌を嫌うと思うので(と言い訳をして)、どうでもいい話を少し(ネタバレ注意)。 ある現代アメリカ的「家族」の12年間を描いているのだが、見ていて、子役本人がどんどん大きくなっているとしか思えなかった。 た…

★時代の空気

新日本海フェリーはなかなか素晴らしく、不満はほとんどない。一番安いチケットを買ったのだが、そのベッドさえ十分快適で、今夜(から?)の車中泊と比べれば天国である。 ただし、運航時刻の設定には疑問がある。 京都の舞鶴を真夜中の0時30分に出て、北…

★大統領の執事の涙

ツタヤ・ディスカス(リストアップした作品のうち何が送られてくるかはわからない)が送ってきた。素晴らしいタイミング。 文句なしの傑作。 これがロビン・ウィリアムズの遺作なのかとも思ったが、この後6本もの映画に出演しているらしい(うち一つは声の…